第1話:神様が好き

僕の名前は、竹原直樹。28歳。行政書士事務所を千葉県の八千代市に開設した
起業家だ。父親は、一流商社『竹原総合商社株式会社』の会長だ。名は、竹原貞
夫という。貞夫のそのまた、父、つまり、直樹の祖父は、外交官で、ドイツの日
本駐在大使館で働いており、名を竹原道信という。母は、竹原美智子といい、貞
夫と別居して、愛知県の名古屋の熱田神宮で、神子さんをしている。
神子さんは、普通は、神に仕える未婚の女性を指すが、美智子は、入籍だけして、
結婚式を挙げていない。

「私は、離婚してもよろしいですか?神に仕える私が、ふしだらな行為を犯して、
子供を産んでしまいました。許される事は、出来ないですよね?どうします?貞
夫さん?」

「パパにそんな事、言わないでよ!パパは、仕事に忙しいの。別に別居してれば、
ばれないんじゃないの?」

「市役所にばれたら、どうするんですか?私は、離婚届けを出しますよ。子供は、
あなたに預けます。大切に育ててやってくださいね。神様がこの世に生をもたら
せて、生まれた子なんですから」

「神様なんて、いる訳ないじゃない。いる事証明出来るの?パパは、早稲田の商
学部にいる時に、パパのパパの聖書は、くだらないって、事が解ったんだよ」

「いいえ。神様は、います。きっと、直樹だって、いつか解ってくれるはずです。
無駄な言い争いは、したくありません。さようなら」

「待たないと、裁判起こすぞ。パパのパパが弁護士雇ってくれるから。100%
パパの勝利だぞ」

「何を争点にするんです。子供を私に預けたいのですか?」

「そうだよ。パパは、そんな子嫌いだからね」

こうして、千葉家裁で離婚訴訟の裁判が始まりました。判決は、竹原貞夫の負け
でした。貞夫には、子供をもらう義務がないと。100%勝てると言った貞夫に
は、結局、何も根拠がなかったのです。「パパは、そんな子嫌いだからね」と言
った貞夫の言った事が美智子の証言により、裁判の判決の重要な証言となったの
です。でも、美智子は、裁判の後で、貞夫にこう迫られました。

「美智子には、他に男がいるんだろ?」

この言葉に美智子は、あきれてしまい、結局、美智子の方から千葉地裁に控訴し
ました。

「和解させてください!」

しかし、弁護士がついていなかった美智子は、神子をやめざるを得ないか、どう
かが争点となり、離婚する事が出来なくなり、結局、神子をいったん、やめてし
まいました。この時、僕は、1歳で何も覚えていません。お母さんは、父と別居
して、離婚届けに印を自分だけ、押したまま、いまだに持っているそうです。僕
は、千葉県の八千代市のゆりのき台の父親名義の持ち家に住ませてもらっていま
す。僕は、今まで、父を一度も好きになった事は、ありません。何故なら、僕も
神様が好きだったのです。男とか女とか性別が特にはっきり言って、概念のない
神様を愛していました。時々、母に会いに行く事があります。やっぱり、母は、
熱田神宮で神子さんをやっていました。
母は、僕の事を寵愛していました。お坊さんだって、子供がいる。結婚してはい
けないというのは、仏教でも修行中のみの話である。

「私は、直樹の事を世界で誰よりも愛しています。やはり、私の産んだ子ですも
の」

と28歳になるまで、僕の事をかわいがってくれました。
決して、それは近親相姦ではありませんでした。
母は、父と別居してますが、子供はやはり、欲しかったのです。神の子もやはり、
人間だったのです。母性本能があったのです。

「僕は、愛されてるの?」

「そうです。神様は、全部この事をお見通しです。人の心は、読めませんが」

「神様でも、人の心が分かんないんだ」

この会話をした時は、小六の12歳の時だったと思います。
僕が、行政書士の事務所を28歳にして、開設出来たのは、大学を卒業した26
歳の時、住宅展示場でアルバイトをして、5万円収入があった時に、たまたま、
5万円つぎ込んだ年末ジャンボ宝くじで、3億円を当てるという快挙を成し遂げ
たからです。あれだけ、人が並び、人がつぎ込む宝くじで、3億円当てるなんて、
まさに神様のおかげだと思いました。しかも、行政書士の資格は、2003年度
の2月の合格発表で見事受かり、行政書士人材バンクに登録したのが、その歳の
3月21日の僕の誕生日にでだ。
そして、僕は、28歳になった。
しかし、父親の元で暮らしてきた僕にとって、仏教というのは、父にも、歓迎さ
れてなく、僕は、僕の事をかわいがってくれる母を信じていたので、自ら父親を
憎んでいました。
そのうち、父を憎むあまり、間違った宗教心が植え付けられました。
それは、『神を愛するか、否か?』

「神は、果たして、存在するのか?」

「もし、この世に神がいないとすれば、人間が神を創った事になる」

「しかし、それは矛盾している。神が人間を創ったのに、人間が神を創るなんて、
ありえない」

「では、どこに存在しているのだ?」

「この広大な宇宙のどこかに・・・」

と自問自答していたのは、2003年度の8月だったと思います。それも、深夜
の2時に。

「神は、超自然的な存在・・・」

「超自然!?なら、宇宙のどこかに存在してても、不思議ではない!」

「うかつだった。僕が、哲学者で学会に発表してれば、神の存在を証明出来るの
に・・・」

「僕は、やっぱり、神様が好きなんだ!変人って、呼ばれてもいい。神様を愛し
続け、煩悩のない神様のように、女性に興味を一生、示さない」

ところが、この選択が後に直樹の人生を変えるキリスト教への信仰になるとは、
僕は、全く、考えていませんでした。(続く)




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