第4話:女
 
 「もし、人が生まれ変わったら、どうなるか。死後の
 世界など我々にはどうであるか見当もつきません。し
 かし、それが叫びの世界か叫ばれる世界かはあなたし
 だいなのです。ストーリーテラーの相葉和彦でした」
 
 何日間眠っていただろうか。気が付くと、俺は病室で
 眠っていた。俺の名前は、安藤信夫。大学1年生。目
 が覚めると、身体の異変に気付いた。胸が豊満な女性
 らしいバストに。そして、あそこもない。
 
 (一体、俺はどうしたんだ!?)
 
 慌てて病室を抜け出し、病室の看板を見ると、林咲子
 様と書かれている。洗面所に向かうと、鏡には美人の
 姿が映っている。向こうから看護婦がやって来た。
 
 「気が付いたんですね」
 
 「お、俺、いや、私はどうしてたんですか!?」
 
 「不審な男にレイプされて怪我を負って眠っていたの
 よ」
 
 そういえば、胸の所に傷跡がある。
 
 (はっ!)
 
 安藤は、自分がこの女をレイプした事を思い出した。
 
 (でも、何故、この女に身体が入れ変わったん
 だ!?)
 
 安藤は、その事を看護婦に聞き出そうと思ったが、漫
 画話じゃあるまいし、どうしようか考えた。そこで、
 
 「その襲った男は、どこに?」
 
 と聞くと、
 
 「行方不明になったらしいよ。ニュースにも出てる。
 それより、家族の方が面会に来るから待っててね」
 
 (冗談じゃない!)
 
 安藤は、一目算に病院から出て行こうとすると、看護
 婦が追って来た。そこに運悪く、車が走っていたが、
 看護婦が安藤を突き飛ばして、安藤は助かった。
 また、安藤は、何週間か眠っていた。気が付くと、今
 度は安藤を助けた看護婦になっていた。
 医者が、
 
 「目覚めたかい?」
 
 と聞くと、
 
 「一体、どうなってんだ!いつになったら、自分の姿
 に戻れるんだ!」
 
 「ジェット・スクリーム!!!」
 
 何やら、訳の分からない横文字が続くと思うと、死体
 となった安藤信夫の姿となっていた。殺したのは、林
 咲子以外ありえないというのも言うまでもない。
 
 「人は、不本意に死ぬと自分が死んだかどうかも解ら
 ない状態になるといいます。殺された安藤信夫が、女
 の身体を借りて一時的に生き返ったのか、それとも、
 それ自体、死んだ安藤信夫の妄想上の世界なのか、い
 ずれにしても叫びの世界に他ならないでしょう」
 
 出演者:安藤信夫
     林咲子
     看護婦
     医者
     ストーリーテラー相葉和彦




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