第21章:ハッピーエンド

機械人間ゲダロフは、緻密に造られた海底都市を廃墟にしようとしていた。これ
では、もうオグマと変わらない。海底都市には、もともと海にいる生物の飼育を
行う海底牧場と工場で成り立っていた都市だが、もはや、ゲダロフのせいでその
都市の大半は、こなごなになってしまっていたのだ。そして、パジェット人の死
体が都市に転がっていた。魔王オグマにとって、その事態は、何の問題でもなか
った。オグマの目的は、オグマコマンドによって、決定される。その目的とは、
地底世界を滅ぼし、新しい魔法科学文明を創りあげる事。だが、その前に、理性
をなくした機械人間ゲダロフが、魔王オグマのアジトに立ちはだかろうとしてい
る。機械人間ゲダロフが、突如、オグマの前に現れた。オグマコマンドが、

「何故、お前は、世界を滅ぼそうとしている。それなら、我々と変わらないでは
ないか。お前は、我の野望には、付き合わないのか?」

「俺は、全てを滅ぼす。地底世界ウェグナーも地上世界も。そして、永遠の支配
者となる」

「邪魔は、させん!」

「殺す!」

その時、63名の魔術軍隊がアジトにたどり着いた。カンダロフもいる。

「お父さん、どうしたの?まさか、お父さんが、この都市を破壊したの?」

「何故、そう思う?」

「死にかけていたパジェット人の一人から、聞いた」

「正解。もうソンロンもお前も俺とは、関係ない。全ては、俺のものだ」

「あなた・・・」

妻も子も悲しみをこらえていた。せっかく、ゲダロフが生き返ってきたのに、こ
の事態に困惑していた。
オグマコマンドは、

「もはや、誰だろうとどうでもいい。我の邪魔をする者は、全て灰となる。サス
テリアスオグマパワーバージョン!」

オグマの体から、炎が火山の爆発のように、63名の魔術軍隊を襲う。

「待て!俺の相手は、お前だ!」

機械人間ゲダロフが、盾となった。

「フフフ、このメタル金属には、何も効かん!」

「カンダロフ、カンダロフよ。聞こえるか?今こそ、ゾン・クラピカを使う時だ」
「その声は、ワトソン様!」

「ゲダロフもオグマも時の彼方へ放り込んでしまうのだ」

「そんな!父さんを殺すなんて・・・」

「どんな事を言ったって、正義なんてものは、存在しない。戦争に正義も悪もな
いのだ」

「でも、お父さんには、正気の心があるはず。そうでしょ、ワトソン様」

地底世界ウェグナーのワトソン城で、ワトソンは、思念を伝えるのを止めた。ワ
トソンは、王座に座りながら、固唾を飲んで、事態を待っていた。

「オグマ、勝負だ!」

「グォオオオ!」

オグマの雄叫びが、アジトにこだまする。体長10メートルのオグマと小柄な機
械人間が、肉弾戦を行った。

「やめろーっ!」

カンダロフは、とうとう禁断の魔法ゾン・クラピカを唱えた。ものすごい重力空
間が空中にエネルギーとなって、生みだし、小さな惑星が出来上がった。それか
ら、その惑星は、爆発し、カンダロフを含む63名の魔術軍隊には、ブラックホ
ールに吸い込まれないためのバリアが張られていた。そして、機械人間ゲダロフ
とオグマがブラックホールに吸い込まれていく。

「お父さん。さようなら」

「聞こえるか?カンダロフ」

ブラックホールでメタル金属がはがされていくと、もう一つの機械人間コラーム
スが出てきた。

「お父さん?お父さんなの?」

声の主は、本当に人間のゲダロフだった。

「俺は、コラームスと同化していたのだ。それで、こんな罪を・・・」

「ごめんなさい!お父さん!」

「もういいんだ。カンダロフ。それよりも、オグマを倒しても、その思念、オグ
マコマンドを滅ぼさない限り、悪の根は、途絶えん」

それから、175年後の惑星パジェット。あれから、オグマコマンドは、姿を一
向に現さなかった。肉体が無ければ、思念も意味がないのか?それとも?ワトソ
ンは、もう寿命が尽きていた。ワトソンが死ぬ前に、ワトソンは、一人の勇者を
法王にした。その法王の名は、カンダロフ。191歳のカンダロフは、昔の事を
思い出していた。その昔、大いなる父の存在と惑星パジェットを襲ったオグマと
いう怪物の事を。そして、今、惑星パジェットでは、惑星の中心街サルクのパジ
ェットタワーを中心にして、科学文明と魔法文明が共存し合う新しい世界が広が
っている。
〈END〉



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