第5章:コアブレイク

時空を超えていくオグマコマンドは、虚無空間を遡っていった。虚無空間とは、
宇宙空間を超えるための異次元空間の事であり、タイムスリップする事の出来る
唯一の空間の事である。過去にタイムスリップしたオグマコマンドは、西暦21
00年の銀河系にやって来た。

「ムーッ、ここには、惑星がいっぱいあるな。人類もどこかに存在していそうだ。
我の肉体を司れば、新しい文明を創りあげる事が出来るかもしれん」

その頃、オグマの肉体は、機械人間ゲダロフと激しい肉弾戦を繰り返していた。
体長10メートルのオグマと1メートル75センチの機械人間ゲダロフの戦いは、
無謀ではなかった。意志のないオグマは、何故か、妙に戦いを喜んでいる。最初
に攻撃をしかけてきたのは、機械人間ゲダロフの方だった。マッハ3という常識
では、ありえないスピードでパラケルを発動し、オグマの体を電撃で金縛りにさ
せる。次に、その速い音速のスピードで、オグマの肉体に激しく、拳を連打する。
そして、巨大な右足の親指を両手でかかえ、宇宙の彼方へすっ飛ばした。そうか
と思いきや、オグマの4本の腕の内、2本の腕から、ビーム砲が機械人間ゲダロ
フに的中する。ビーム砲に耐えた機械人間ゲダロフは、レーダーで、オグマの位
置を把握し、飛ばされたオグマの直前に近づく。オグマは、うなり声をあげて、
機械人間ゲダロフを右足でけっ飛ばす。メタル金属のメッキがはがれていく。そ
れでも、尚、攻撃をしかけようとする機械人間ゲダロフに今度は、二本の腕のシ
ザースが機械人間ゲダロフを引きちぎりようとする。それに反抗して、機械人間
ゲダロフは、掴まれた状態で、激しくそのシザースに拳を連打する。その時だっ
た。

「グォオオ!ワタシヲヨンデイル・・・」

オグマは、二本のシザースをはずした。

「お前、喋れるのか?」

機械人間ゲダロフがそう喋った時、とうとうオグマコマンドがオグマの体を乗っ
取った。

「しまったぁーっ!カンダロフの奴、俺の忠告を聞いていなかったのか!オグマ
コマンドを滅ぼさない限り、惑星パジェットに未来はないというのに・・・」

だが、この時、魔王オグマも機械人間ゲダロフもここが太陽系の銀河系という事
を把握していなかった。それどころか、機械人間ゲダロフは、惑星パジェットが、
カンダロフに統治されてからの4000年の歴史など知るよしもなかった。そし
て、ここが地球の歴史で西暦2100年の宇宙である事も。

「愛しい我が肉体よ、新しい星を求めて、新しい文明を創りあげるんだ」

「そうはさせんぞ!」

機械人間ゲダロフが魔王オグマを阻もうとした時、

「歴史の彼方から、消え去るがよい。アルファナ」

「何だ。この魔法は!俺が消えていく・・・」

禁断の魔法、アルファナを使った魔王オグマの勝利の瞬間だった。生命を宇宙の
歴史からそのものを完全に消し去ったのは、惑星パジェットの地底世界に住んで
いたゲダロフの完全な誤算だった。しかし、歴史から消え去っても、ゲダロフの
残留思念は、虚無空間を超えて、惑星パジェットに帰還したサーガスに伝わった。
その頃、サーガスは、カーラッツが占領していたパジェットタワーの点検をして
いた。どこからか、声がした。声の主は、無論、ゲダロフの思念だった。

(聞こえるか?惑星パジェットの法王よ・・・)

「どなたです!あなたは。そして、どこから、声を出しているのです」

(お前は、カンダロフじゃないな。まあ、いい。地底世界ウェグナーの平和を頼
んだぞ・・・)

「法王か。今は、それどころじゃないですが、あなたは、きっと、救世主ですね。
地底世界ウェグナー・・・この惑星パジェットにそんなものが存在していたとは、
驚きですね。このパジェットタワーに何かカギがあるのかも」

「あなたの名前を教えてくれませんか?」

(ゲダロフだ。サイボーグと化して、家族を失った哀れな男さ・・・)

「ありがとうございました。あなたの恩は、忘れません!」

ゲダロフの思念は、どうやら、カンダロフが法王となった時代へと移動していっ
たようだ。サーガスが、点検を全て終えた時、魔法使い達とパジェット人が法王
の広間に集結した。

「サーガス様、ばんざーい!新しい法王は、サーガス様だーっ!」

皆が声をあげている頃、新たなる恐怖が訪れようとしている事に誰も気づかなか
った。惑星が破壊し、消滅してしまうコアブレイクの時が迫ろうとしている事に
・・・・・・。




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