第１幕：ノストラダムスの予言
１９９９年７月、当たらない筈のノストラダムスが的中した。地球に災いをもた
らしたのは、沖縄県に所属する無人島の少年の仕業だった。彼の名前は、猪八界
吉右衛門。先祖は、江戸時代、大泥棒で島流しの刑にあった者だ。
彼は、無人島に、政府に内緒の犯罪テーマパークを作っていた。そこには、あら
ゆる犯罪者が集まっている。犯罪者の元職業も多種多様だ。医者、弁護士、教師、
消防士、ホステス、タクシー運転手・・・。
とにかく、あらゆる知的確信犯がこの島に集まって来て、独自の文化を創り上げ
た。吉右衛門は、この島に『更生国』と名付けて、映画会社の社長兼監督として、
暮らしている。更生国には、法律が存在しない。何をやっても、許される。
吉右衛門の歳は、１７歳。彼が、この島にどうやって、たどり着いたのか、前科
はあるのか、一切、謎に包まれている。
更生国の隣には、『ミスター・サリン島』が存在し、今でこそ、アレフという宗
教団体だが、オウム真理教の元教祖の麻原彰晃の影武者、『吉良大五浪』が、エ
ルフサティアンという建物の中で、サリンを作っている。大五浪の崇拝者達は、
麻原彰晃を尊敬し、崇拝している、いわゆる、マインドコントロールされた人間
達だ。エルフサティアン内にいる崇拝者達は、更生国と協力し、日本を支配する
チャンスを狙っている。
更生国の街は、殺戮のし放題のため、その辺に死体が転がっているうさんくさす
ぎる街並みだ。和歌山の元林真須美容疑者と埼玉の元八木茂容疑者が夫婦になっ
て、一緒に住んでいる。両方の容疑者とも、更生国の存在を知っていた警察官の
所長、『水島刑』の圧力により、悪徳政治家に多額の賄賂を送って、両容疑者を
内密の元に、島流しする事にしたからだ。
「今日の夕食は、ヒ素入りカレーよ」
「お前、ちょっと熱っぽいな。ほら風邪薬だ」
とか言ってて、実はお互いに保険を掛け合ってる訳だ。もううかつに何も食えな
いし、風邪すらひけない。
『林カレー店』とか『八木薬局』とかのチェーン店があったりして、うかつにこ
の国以外の人が近寄ると、痛い目を見る。
町内にある病院は、『野本岩男病院』。うっかりすると、死体にされて横浜港に
投げ込まれる。『宮崎勤ビデオショップ』なんてものもあって、色々な秘蔵ビデ
オが揃っている。夜、クラブに行ってみると、歌っているのは克美しげる。クラ
ブの前に停めてある車のトランクは、開けてはいけないことになっている。角を
曲がると『通り魔通り』ってのがあって、シンナー吸って包丁持った男たちが走
り回ってる。ここを歩くには、相当勇気が必要だ。『覚醒剤ブロック』とか『強
姦館』とかもあって、とにかく、島じゅうが『犯罪テーマパーク』である。収入
源は、観光収入。吉右衛門の映画会社の子会社である『猪八界テーマパーク事務
所』に日本中から物好きな客が集まってきて、観覧料を支払う。更生国の存在は、
まだ、日本では、ネット上でしか知られていないため、政府の非公認なのだ。観
光の際には、危険の為、事務所専用のサファリパークみたいなバスに乗って、街
を回るだけ。だけど、時々、パンツ一丁の男にバスが放火されたりもする。飛行
機も危ない。たまに逆噴火する機長がいるし、水を入れたビニール袋持った変な
ハイジャッカーが乗ってたりする。
吉右衛門は、この島の有様をカメラで編集し、映画にするつもりだった。吉右衛
門が、何故、ビートたけしといつ、どこで知り合ったのか、まるで、不明だ。そ
もそも、この更生国を作るきっかけとなったのも、ビートたけしのおかげなのだ
から。２０００年１０月３０日に発行された『初級人間学講座①時事問題講義
偽善の爆発』が発売される前に、ビートたけしと知り合っているのだから。
更生国の犯罪者達は、ほとんどの人のＩＱが２００だ。だから、パソコンでアメ
リカのＣＩＡ情報局のコンピューターをハッキングするなど、わけない。それよ
りも、恐ろしいのは、地球に巨大隕石を落とすという科学力を持った吉右衛門の
更生国の科学者達の恐るべき陰謀だ。
どうやら、遅かったようだ・・・。間もなく地球に、巨大隕石が追突しようとし
ている・・・。ノストラダムスの予言は、的中した。そして、吉右衛門は、この
話全てを映画化する殺人監督だ・・・
