第2幕:殺人監督の理念

地球に巨大隕石が追突しようとしてる事は、既にNASAの分析で把握していた。
予想もしなかった事態に、アメリカ国民、いや、ニュースを通して、世界中の人
々に恐怖が訪れた。中には、ノストラダムス教なんて、宗教団体が、ニューヨー
クの街の中で、クーデターを起こし、49名の計画犯が逮捕される事態が起こっ
た。完全に裏切られた気持ちだった。

「ノストラダムスの大予言なんか、信じるもんか!」

「ノストラダムス、反対!」

とデモ行進が世界中に沸き起こった。
その頃、吉右衛門は、『アメリカンハッカー』という映画を撮る為の取材の為、
更生国から、自家用ジェット機で、アメリカに渡った。無論、更生国の存在は、
日本の政府の非公認だったので、知られていなかったし、吉右衛門のパスポート
は、高校時代のパスポートで、更新されていない。吉右衛門は、高校を中退して
いたのだが、その事は、高校側にも、「内緒にしてくれ」と内密にしている。
吉右衛門の好きな映画は、ホラー映画とサスペンス映画のみ。その為、人格が屈
折しているのだろうという事が妥当な人々の考え方だが、吉右衛門は、違った。
実際に起こった事をそのまま、カメラで撮ったり、ノンフィクション映画を撮る
事で、喜びを得る芸術家だ。
これだけ、巨大な陰謀が蠢くこの更生国の存在が、全く、マスコミに知られてい
ないどころか、警察でさえ、動かない事は、日本の文明の著しい欠点だった。
地球に巨大隕石が追突しようとさせたのは、更生国の犯罪科学者達が、地球の軌
道を狂わせて、隕石と衝突するように、緻密に計算しての事だった。
更生国の島自体、どう存在していたのか、考えものだったが、吉右衛門の指示の
もと、人工で造られた巨大規模の島だった。何故、この様な島が発見されなかっ
たのか?それは、この島は、科学者の手によって、普段は、海底に沈んでしまう
よう、設計されているからだ。よって、この島の犯罪者、観光者を含む住民は、
『ミスター・サリン島』に度々、移動する。島が現れるのは、1ヶ月に1回のみ。
その間を巡って、世の中のありとあらゆる暇人が、島が存在した時のみ、観光に
訪れる。情報源は、ごく一部のネット上のみでしか、知る事が出来ない。
吉右衛門は、もちろん、この事も映画化するつもりだ。この状況全てを映画化し、
『アメリカンハッカー』という大作を撮るために。例え、後で、吉右衛門が殺人
補助罪他色々な罪で問われるとしても、この映画を完成させるつもりだ。それが、
猪八界吉右衛門の映画監督理念だ・・・




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