其の一:作詞家の捉え方

僕は今までに50作品程、作詞を書いたが、世の中そんなに甘くない。そのうち、
ヒットしたのは、3曲程度。作詞の才能は、大学時代から約3年所属していた
『谷昇セミ歌劇団』で歌手と役者の修業をしているうちに開花した。谷昇先生は、
芸能生活30年のキャリアを持つ元俳優、歌手で、現在は、音楽プロデューサー、
音楽ディレクター、シンガーソングライター、劇団の先生、経営者、企画家とし
て、幅広く活躍している。そんな先生も忘れっぽいところがあり、僕をまだまだ
一人前の作詞家として、認めていない。と言うよりも、先生がその昔、現役作詞
家の星野哲郎氏が作った曲を歌ったとしても、先生でも、まだまだ人の作詞を面
倒してあげる程の労力がないのと、先生の考え方があるのだろう。歌手が一人前
の歌手を育てられるとは、限らないのと、と言うよりもそんな教えてくれる歌手
の先輩が芸能界には少ないように、作詞家が一人前の作詞家を育てられるとは、
限らない。作詞家になるためのスクールや教室や通信講座、他プロダクションか
ら作詞家になった人も皆独自の感性を持っているが、巨匠星野哲郎氏に認められ
るような作詞家は、ごくわずかだ。どんな作詞が世に認められるかと言えば、誰
が聞いても、思わず、口ずさんでしまうくらいの歌が出来て、初めて一流の作詞
家になるのではないだろうか?かのシェークスピアは、かつて、こんな言葉を残
した。

「私は、クルミの殻の中の小さな存在にすぎないかもしれない。しかし、私は無
限に広がった宇宙の存在と思うことができるのだ」

この言葉は、『ホーキンス宇宙の未来を予測する』にも書かれていた程の宇宙哲
学的な言葉でもある。この言葉は、無論、この本を読んでいないと何を言ってい
るのか、普通の人は、大抵理解しがたいが、『クルミの殻の中の小さな存在』、
このキャッチフレーズだけでも、新しい作詞が浮かんでくるように、僕は思える。
これを作詞するには、今までの修行に加え、他の素晴らしい作詞家の作品を分析
する評論家のような力も必要ではないか?
そのために(株)インターシリーズの歌手、『相葉和彦』として、僕自身の歌か
ら分析してみようと思う。では、僕の作品集のうち、CD化する作詞の一つを紹
介しよう。

私が待つ朝方の町
     作 相葉和彦
     
朝方の町の中屋根の上
カラスが一羽鳴いてるよ
朝方の町の中木の枝で
雉鳩が一羽ほおずりしてる
人々が動き出す私の住む町で
愛し合える人がいるなら
出逢ってみたい

朝焼けが朝焼けが
真っ赤に空を彩るよ
この空を眺めて
夢みる人を思うなら
幸せに出逢うという素晴らしい世界が
浮かぶよ胸の中     
ちょっと気分を変えたくて
歌口ずさむ

人々が動き出す私の住む町で
愛し合える人がいるなら
深くもてなすだろう

朝焼けや朝焼けや
私が待つ朝方の町

いかがでしたでしょうか?確かに星野哲郎氏には認められないかもしれませんが、
言葉の一つ一つが『私の故郷』を細かく表現した作詞であり、皆さんが共感でき
る歌だと自負しております。ただし、この歌を歌うには、かなりの歌唱力が必要
であり、せっかくの作詞も作曲がうまくできなかった為、僕自身は、納得のいく
歌を歌う事ができませんでした。しかし、僕はその代わり、ヒットする作詞を他
の新たな可能性のある歌手にプロデュースしてあげたいと思います。未来は、果
てしなく道が広がっていて、いつも運命が変わる無限の世界なのです。そう絶え
ず、思っている僕は必ずや、いつか『星野哲郎ばり』の部屋を開けるでしょう。

2003年12月31日0時50分相葉和彦の現在

続く



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