第10章:新しい生命

16人の魔術軍隊2部隊は、コラームスがアジトにしている生物兵器開発研究所
の場所をスカイコロニーを探し回って、突き止めた。そのアジトには、マッド・
サイエンティスト達が5、6名いて、生物兵器の開発研究を行っていた。
ソンロンは、

「ここが、コラームスのアジトね。ここをつぶせば、私たちの脅威となっている
オグマ軍の頭脳を一部壊滅できるも同然だわ」

と仲間達に諭した。マッド・サイエンティスト達が、魔術軍隊の存在に気づいた。
「地底世界の諸君。ようこそ、我が生物兵器開発研究所へ。君たちがここへたど
り着けたことを殊勲に思っている。君たちは、これから自らの行動にやがて恐怖
を感じるであろう」

ガーラが、

「それは、どういう意味ですか?」

と言うと、

「つまり、君たちのゲームはここでジ・エンドだ」

その瞬間、マッド・サイエンティスト達は恐ろしい生物兵器へと変化し始めた。
その名は、生命体コアX109。アメーバ状の幕をマッド・サイエンティスト達
は、纏っている。

「デス・トラッパーを出すぞ!!」

魔術軍隊は、バリアを張って、モンスター、デス・トラッパーを出した。トーテ
ム・ポールの様な姿をした柱のモンスター100匹は、コアX109の様子を窺
っている。次の瞬間、コアX109は、魔術軍隊に向けて、触手を伸ばした。

「警告、警告」

コアX109の触手が魔術軍隊に触れたとたん、デス・トラッパーは、核爆発を
起こした。

「このままですむと思うなよ」

コアX109は、爆発と同時に16人の魔法使い達に寄生虫を放った。体を寄生
虫が襲う。ソンロンが、

「みんな、持ちこたえるのよ。この研究所のどこかに寄生虫の毒を解毒する何か
があるはずよ」

ガーラが、

「私は、もうダメです。体がいうことを効かない。30歳という歳は、この寄生
虫に対する抵抗力を失っている・・・」

ガーラが力尽きた。残り15人のうち、体力回復魔法『ダ・ラマ』を覚えていた
スナヴキンは、

「これで、寄生虫と戦えるエネルギーが満ちてくるはずです」

『ダ・ラマ』

顔のやつれた15人の魔法使い達に精気が宿ってくる。

「これで俺たちは、寄生虫を気にせず、コラームスと戦える」

広い研究所を探し回ると、体力回復装置で睡眠しているコラームスの姿が目立っ
た。

「グオオオ!!」

雄叫びをあげて、コラームスは、回復装置のガラスを割って、勢いよく飛び出し
た。回復装置から放水されたイオン水は、15人の魔法使い達の寄生虫を除去し
てくれた。

「これで戦えるわよ」

ソンロンには、コラームスを倒せる確信が確かにあった。

「ラスト・エレメンタルを出すわよ。みんな、準備はいい?」

「おおー!!」

「懲りない奴らだ。そのモンスターの攻撃は、私の前では無力だ」

ラスト・エレメンタルの元素攻撃がコラームスを襲う。

『スペリオール』

コラームスが、ラスト・エレメンタルの元素攻撃を次々、跳ね返す。

「今よ。我が地底世界ウェグナーの大いなる精霊ラスト・エレメンタルよ。全て
の攻撃を還元せよ」

ソンロンは、次々と帰ってくる灼熱の炎、地柱、放水、吹雪、その他の元素攻撃
をラスト・エレメンタルに吸収させた。ラスト・エレメンタルの魔力が増大した。
『プリザモンド』

ソンロンは、何故かラスト・エレメンタルにその魔法を放った。

「ハッハッハ。自滅か」

「違うわ。融合よ」

魔力の増大したラスト・エレメンタルが七色の虹の光を浴びて、パワーアップし
た。

『プリザモンド』

ラスト・エレメンタルが魔法を体から発射した。何連発のプリザモンドがコラー
ムスに解き放たれる。全長約5メートルあったコラームスの体が瞬時に消え去っ
た。

「やったー!!」

15人の魔法使い達は、勝利に酔いしれた。だが、ソンロンは寄生虫の毒で受け
たダメージが元でその場にドサッと倒れた。

「ソンロン。ソンロン」

その声の主は、レストルームで驚異的な回復力で、3日で体力を完治したゲダロ
フだった。

「よくやったぞ。ソンロン」

ソンロンの体を抱きしめたその時、ワトソンの使いが研究所にワープしてやって
来た。

「みなさん。よくぞ、コラームスをやっつけました。これでオグマ軍も少しは大
人しくなることでしょう。ワトソン様の城へ報告しにみなさん、いったん、帰還
しましょう」

ワトソンの使いと共にゲダロフ達は、ワトソン城へと帰っていった。

「みなさん、ごくろう。オグマ軍の頭脳となるスカイ・コロニーの研究所は、こ
れで崩壊した。後は、おそらく海底世界の研究所にすむオグマの拠点をつぶすだ
けだ」

ワトソンは、ゲダロフ達に褒美となる財宝を与えた。

「ゲ、ダロフ?」

ゲダロフの両手に抱えられ、気を失っていたソンロンが目を覚ました。

「この前、俺を助けてくれたお礼さ」

「ありがとう」

二人は、確かにお互い愛情を抱いていた。それを見ていたワトソンは、

「ゲダロフ、ソンロン、汝ら二人の結婚を命ずる」

戦争が起きていた中で、二人の結婚は華やかで願ってもない事だった。
それから、2年後、21歳を迎えたゲダロフとソンロンの間に子宝ができた。
父親となったゲダロフは、その子にカンダロフと名前をつけた。
いったん、平和が訪れた地底世界ウェグナーに、魔大戦は伝説と化した。

続く


100MB無料ホームページ可愛いサーバロリポップClick Here!