第17章:冥界

力尽きたゲダロフは、気がつくと、幽体と化していた。

「そうか・・・俺は、死んだのか・・・」

普通の人間なら、幽体と化した時点で、自分が死んだ事も解らずに彷徨うのが普
通だが、ゲダロフは、違った。やはり、彼は生前から特別な存在だったのかもし
れない。彼は、冥界の入り口であるバビロマ山脈の奥深い洞穴の中の扉の前に立
っていた。バビロマ山脈は、地底世界ウェグナーの遙か北に存在する大きな山脈。
その時、

「ゲダロフさんですか?」

「・・・・・・!?」

「俺の姿が見えるのか?名前は?」

「ハイロンと申します。魔法使い養成所の第23期生です」

「こんなぶっそうな所へよくやって来たな」

「ここには、危険かつ最強のモンスターがごろごろしています。私は、捕獲する
事が出来ませんでしたが、この世界でおそらくナンバーワンのアレフと戦いまし
た」

「そんな強いモンスターと戦って、怪我はなかったのか?」

「デス・トラッパーと戦って、瀕死の重傷を負いましたが、そのモンスターが持
っていた回復装置のボタンをうまく私の方に作動させて、回復しました」

「そんな力を持ってるのか。地底世界もまだまだ有望な若者がいるな」

「ところで、ゲダロフさんは、死んでから、これからどこへ向かうのですか?」

「解らん。この先の扉も開きそうかどうか・・・」

「私が触りましょうか?」

ハイロンは、扉に触れた。その瞬間、ハイロンの体は、5メートル吹き飛んで、
洞穴の壁にぶつかった。

「いててて・・・」

「よし、俺が触ろう」

ゲダロフが、扉に触れたその時、扉の向こうから、亡者の悲鳴と叫びと共に、

「死して、尚、闇に逆らう修羅の者。試練に耐えてみるか?」

「あなたは、一体?」

「今は、答える事ができん。だが、余の所まで無事、たどり着けたのなら、新し
い生物として、生き返らせてやろう」

「断る。俺は、例え、死んだ状態でもこのままでいたい」

「そうか。前に来たコラームスもそんな事を言っていたな。だが、奴の場合、サ
イボーグとして復活できるらしいと言っていたが」

「何て事だ・・・あいつが蘇るのか。この世に・・・俺も機械人間になる。コラ
ームスに会わせてくれ!!」

「よかろう。来るがよい。余のとこまで・・・」

冥界の扉は、その時、開かれた。

「おい!ハイロンと言ったな」

「はい」

ゲダロフは、一部始終を見ていたハイロンに気がつくと、

「俺は、機械人間として蘇る。その代償は、大きいかもしれない。だが、きっと、
みんなの力となって、蘇って来る。この事をみんなに伝えてくれないか?」

「分かりました。きっと、必ず伝えます。ゲダロフさんもご無事で」

「お前も達者でな」

こうして、幽体と化したゲダロフに新たな冒険が始まる事になった。そして、地
底世界ウェグナーも新たな試練を迎えようとしている・・・

続く


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