第4章:異国の地で出現した者

ここは、かつて、カンダロフが唱えたゾン・クラピカによって、創られたブラッ
クホールの中。魔王ヌポタクリフ軍とサーガス軍が戦っている現場とは、次元の
違う世界だ。つまり、現場より遡って4000年前の惑星パジェットの海底都市
に創られたブラックホールの中だ。とは、言っても、安心していい。ゾン・クラ
ピカは、選ばれた対象のみを吸い込んで、その瞬間、ブラックホール自体は、宇
宙のどこか違う場所に移動する。そのブラックホールの中にあの機械人間ゲダロ
フとゲダロフと同化していた機械人間コラームスと魔王オグマがチリとなって、
化した原子が存在していた。そうなのだ。奴らは、死んでいた訳では、いなかっ
たのだ。原子なのだ。つまり、オグマコマンドが操っている魔王ヌポタクリフの
思念、オグマコマンドを除いては、機械人間ゲダロフと機械人間コラームスの思
念は、遠い宇宙のブラックホールの中に存在していた。魔王オグマの原子は、た
だ存在していただけだが・・・。
機械人間ゲダロフの原子は、異次元空間の中で、

(オレハ、ドコヘイクノダロウ・・・)

そして、機械人間コラームスも、同じ様に、

(ワタシハ、ドウシテシマッタンダ・・・)

とお互いに異次元空間の中で思念がそう語っていた。自分達がチリとなった事が、
この空間では、思いがただ虚しく、過ぎ去っていく。その時だった。真っ暗闇の
ブラックホールの先に明るい光が見えた。機械人間ゲダロフの原子は、

(アレハ、デグチナノカ!)

ブラックホールの外には、ホワイトホールがある事など、彼らは皆、予想だにし
ていなかった!ホワイトホールから彼らの原子が吐き出された、その瞬間に原子
が再生された。無論、あのオグマの肉体も・・・。
たどり着いた先は、西暦2100年の銀河系だった。水、金、地、化、木、土天、
海、冥のあの銀河系に。
オグマは、うなり声を上げた。

「グォオオオ!」

「オグマ様?ここは、どこですか?オグマ様?命令を・・・」

その瞬間、オグマの拳が機械人間コラームスの体を貫いた。そして、爆発した。

「オグマ、俺と勝負しろ!ここがどこの世界だろうとどうでもいい。俺の宿命は、
愛しい家族のためにも、お前を倒す事だ!」

その一方、サーガス軍の軍師、カーラッツは、パジェットタワーの奪還に成功し
ていた。カーラッツは、側に倒れていた宮廷魔術師のマルクを、

「この裏切り者め!」

と、魔法で焼死させた。
また、その一方で、惑星アーロンに向かった魔王ヌポタクリフは、サーガス軍と
の戦いの途中で、急に意識を失った。ヌポタクリフを操っていたオグマコマンド
が、

「我が肉体が、我を求めている移動しなくては・・・」

こうして、オグマコマンドは、時空を超えて、オグマの肉体へと向かって行った。
惑星アーロンと惑星ムルムーンにいたサイキッカー達は、皆、正気を取り戻した。
だが、戦争の代償は、大きかった。この宇宙戦争で、死んでいった者達は、サイ
キッカーと魔導機動隊エクスペリードVRに乗っていた魔法使い達だった。そし
て、魔導機動隊の手によって、哀れにも死んでいった正気を取り戻した元法王ヌ
ポタクリフの死体が転がっていた。独裁政治家の哀れな最後だった。

続く


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