第3章:魔王オグマの野望

かつてワトソンと対決したオグマは魔法使いとしてはワトソンに次ぐ高等魔術
「アルファナ」が使える優秀なワトソンの秘書だった。しかし、「アルファナ」
も禁断の魔法「ゾン・クラピカ」と同様、悪用してはならない魔法である。何故
なら「アルファナ」はウェグナーの書物に載っている『地底世界の歴史をここに
記す』の章から魔法の対象となる生命の存在を歴史から永遠に消し去る、つまり、
魔法の対象となる生命に『昔からその生命は歴史上存在しなかった』とする魔法
であった。もっともワトソンはオグマからウェグナーの書物を奪い去ったという
事実があるので、オグマは対決の行方の中でもこの魔法を使用しなかっただろう
し、この魔法を滅多な事では使えない、それはオグマが地底世界で罰せられる事
を恐れていたから。

「もしも、この魔法を悪用できたならどうなっていただろうか?」

おそらく、地上世界でマッド・サイエンティスト達と協力し始めたオグマは地底
世界の侵略に対抗する生命を全て歴史上から永遠に消し去ってしまっていただろ
う。そうした意味では地底世界ウェグナーの法王ワトソンは地底世界の全ての生
命が敬わなければならない最高の神様だった。
それとは逆にオグマは魔王と化していた。オグマの体は科学者達によって生物兵
器となって進化していたのだった。おまけに魔法も使える最強の魔王だった。
まず、最初にオグマは惑星パジェットのパジェット人、アンドロイド、マッド・
サイエンティスト達を従え、魔法兵器の管理者となった。
マッド・サイエンティスト達は、

「惑星パジェットに永遠の幸あれ。魔王オグマに永遠の服従と感謝を祝う」

と喜んで、勝利の宴を行った。記念セレモニーとして、時速最高500キロのマ
シンレースを行った。そのレースの優勝者はパジェット人のミセス・コンテスト
で優勝した女性ケリーだった。彼女は、

「二つの祭典で優勝できて、二重の喜びを満悦しております」

と記者会見に望んだ。但し、この惑星パジェットでは芸能人は職業として最も最
低のランクの職業だった。機械・科学が支配するこの惑星の地上世界ではこうし
た人類は不要とされていたからだ。だから、ケリーは非常に喜びに満ちていた。
間もなく無益な「魔大戦」が始まろうとしているのに。
オグマは地底世界に入るための封印の魔法を唱えた。

『マエスチュール』

その時、地上世界の廃墟ビルの地下通路へ入るための扉は開かれた。
5000人のアンドロイドと魔法兵器である魔法ミサイル戦車『ブリットコア』
が地底世界ウェグナーへ向けて解き放たれた。かつてウェグナーがこの地底世界
をいつしか侵略される事を予期して造られた地下通路のダンジョンをいとも簡単
に攻略した。落とし穴、突如飛んで来る鉄球、催眠ガス、突然針のついた天井と
床が縮まって押しつぶされる罠をかいくぐりながら。それもこれも秘密を知って
いたオグマがアンドロイド達に指示を出していたからだ。

「オグマの軍隊が法王の城に攻め込まれる前に早く魔術軍隊を編成しなくては!」
法王ワトソンが平和を取り戻すために残された期間は、ワトソンの寿命が尽きる
200年以内まで・・・・・・。

続く


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