第4章:素質のある者

地底世界に攻め込んだオグマ軍は攻めあぐんでいた。それは、軍の総帥であるオ
グマの体は特殊な生物細胞でできているため、酸素が地上世界より薄い地底世界
では耐えきれず、ひとまず帰還していったからだ。しかし、オグマの思念により、
アンドロイドの中から優秀な将軍が選ばれた。思念がアンドロイド達に伝わった。
「これより、お前達の中から統率力に優れた優秀な将軍を抜擢する。その将軍の
名は、コラームス」

「ワー!!」

アンドロイド達は歓喜の声を上げた。その群衆の中から、

「どけ、どけー!」

と威勢のいい声を上げて、コラームスが現れた。

「これから我がオグマ軍は、オグマ様の特別な指示以外は私に従う事。以上!」

この頃、地底世界のモンスターは300匹程殺されていた。トロルマスターの3
00匹である。それでも、オグマ軍は攻めあぐんでいたのだからトロルマスター
は予想以上に強いモンスターだった。

法王ワトソンが指令を出した魔法使い養成所で入学式が行われた。校長は七色の
光の魔法「プリザモンド」が使える優秀な魔法使い「ミトラー」だった。

「この度は偉大なる魔法使いウェグナーによって、造られた魔法使い養成所に入
学してきた生徒に感謝します。しかし、今年から法王ワトソンの指令により卒業
できる生徒は厳しい卒業テストをクリアした者のみとします。その理由は、この
地底世界ウェグナーは、今侵略され始めているという事実が発覚したからです。」

校内に一瞬ざわめきが走った。それは大多数が戦闘能力を秘めていても平和だっ
たこの地底世界ウェグナーでは『戦争』という概念がなかったからである。
それでも、この魔法使い養成所にはわずかな希望の光が見えた。ゲダロフという
生徒である。彼の態度は傲慢だったが、かえってそれが戦争という闘争心むきだ
しの舞台に向いていたからである。彼は初等魔術は、魔法使い養成所に入らずと
も使えたので、授業はさぼりっぱなしだった。初等魔術とは、ほうきで空を飛ん
だり、物体を念力で自由に動かすといった魔法使いとしては出来て当たり前のご
く普通の能力だった。それどころか、彼は天才だったので、ほうきで空を飛ばず
とも、呪文だけで体を宙に浮かし、自由自在に空を飛ぶ事が出来た。法王ワトソ
ンは、使いに魔法使い養成所の情報を収集させ、ゲダロフの存在を知った。彼が
授業をさぼってばかりいるのを聞いて、法王ワトソンは罰を与えるどころか、お
おいに喜んだ。

「こいつはいきのいい生徒だ。彼は魔法使い養成所始まって以来の天才児だそう
だな」

「しかし、授業をさぼっているという事実は我が国の法に反しているのでは?」

大臣がそう言うと、ワトソンは、

「よろしい。この者に卒業テストを受けさせよう。こんな世の中だ。いちいち、
法に従っていては得るものも得ない」

こうして、ゲダロフは卒業テストを受ける事になった。ゲダロフは、

「最初からそうしてればいいものを」

と生意気なセリフを吐いた。

ゲダロフの卒業テストのために法王ワトソンは、トロルマスターの支配する塔を
瞬時に造りあげた。建物を造る魔法「ピカソケダリトー」を唱えて、法王ワトソ
ンは疲労がたまって、ベッドに横になり、体を癒した。冒険が今、幕を開けよう
としている。偉大なる魔法使い達を育てあげるマジシャンズ・クリエイトシステ
ムは始まったばかりだ。

続く


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