第6章:魔術軍隊始動!

オグマ軍が侵略を始め、それに対抗すべく魔術軍隊を結成させるのに2年という
月日が流れた。法王ワトソンの城にオグマ軍がたどり着くには、そうとうの年月
が必要とされる。それだけ、地底世界ウェグナーは広大で、侵略するのはそう簡
単な事ではなかったからだ。
2年経ち、法王ワトソンにオグマ軍の情報が入った。ワトソンの使いが、魔法使
い養成所から情報を収集すると、

「西のボルビア地方にオグマ軍がアジトを築きあげたらしいぜ」

と生徒が噂しているのを聞いて、ワトソンに知らせた。この噂が本当であるのか
どうか確かめるために、ワトソンの使いは、魔法使い養成所の校長ミトラーにそ
の生徒を呼ぶように言った。その生徒、ビロにミトラーが詳しく話を聞くと、

「俺、罰を承知でこの事態の中で密かに冒険をしてたんだ。卒業テストまで待ち
きれなくて。そしたら、アンシャンテの森から西にいった所で、何かたくさんの
軍隊と得体の知れない物が存在してる事を知ったんだ。『ウード』の魔法で離れ
た場所からそいつらの会話を聞いていたら、『我がオグマ軍の勝利ももう近い。
我々は、2年という月日をかけてここまで地底世界を侵略する事に成功した。間
もなく、我々は敵の本部に攻め込む事が出来るだろう』って言ってたのを聞いて、
一目散に逃げてきたんだ。」

「よくぞ、知らせてくれました。これで、ワトソン様は事態に備えてくれる事で
しょう。君が勝手な行動をしたのは、許される事ではありませんが、その代わり、
卒業テストを必ずクリアする事で許してあげましょう」

「本当ですか。じゃあ、罰は受けなくていいんですね」

「それは、ワトソン様が決める事だが、私に免じてワトソン様に言っておきまし
ょう」

こうして、オグマ軍のアジトに魔術軍隊が向かうことになった。8人の魔法使い
達に50匹のモンスター軍。しかし、この軍隊が始動して、8人の魔法使い達の
うちのゲダロフは、かつて味わったことのない劣等感を感じていた。それは、2
年という月日の中で、ゲダロフ以上の優秀な魔法使いが台頭してきたことに加え、
ゲダロフがせっかく捕獲してきた50匹のトロル達は、用済みとなり、8人の魔
法使い達の中の一人、ソンロンが捕獲してきたモンスター、ナイトメアがワトソ
ンの指令により、率いられることになったからだ。ナイトメアは、ユニコーン系
のモンスターで毒ガスを吐く悪夢のモンスターだ。このモンスターを卒業テスト
で捕獲してきたソンロンは、魔術軍隊の中で、唯一の女性で魔女だった。

(女にこの俺が劣るなんて・・・)

ゲダロフは、ソンロンに、

「おい、お前。いい気になるなよ。優秀な戦闘能力を秘めた魔法使いは俺以外、
考えられないんだからな」

と言うと、ソンロンは、

「あんたは、何様のつもり。今は結束が大事な時だっていうのに、あんたがしき
ってたら、この魔術軍隊はバラバラになるわよ」

「けっ、全部ワトソンのいいなりかよ」

とゲダロフは、タンを吐き捨てた。
魔術軍隊が、オグマ軍のアジトに近づいた。すると、いきなり、ゲダロフが、魔
法陣を敷き、パラケルの魔法を唱えた。ソンロンや他の魔法使い達は動揺したが、
ソンロンは、

「奇襲はまずいわよ。作戦を考えてからじゃないと危険だわ」

とゲダロフを引き留めようとした。

「危ない!下がってろ」

パラケルの魔法が発動して、オグマ軍の将軍、コラームスは、いきなりの奇襲に、
「一体、これは何事だ」

と叫んだ。雷の嵐がアンドロイド達を襲う。地底世界にたどり着いた時、500
0人いたアンドロイド達は、 アジトが出来上がった頃には、2500人に減っ
ていたが、ゲダロフのパラケルが更に約500人に減らし、抹殺した。

「ククク・・・」

雷の属性が効かない将軍、コラームスは、不気味に微笑んだ。

「今度は、こっちの番だ」

雷の魔法を吸収した魔法ミサイル戦車『ブリット・コア』は、魔法ミサイルを発
射させるのに、充電された。魔法ミサイルが発射される・・・
50匹いたナイトメアは、全て消え去った。残ったのは、瞬時にバリアを張って
いた8人の魔法使い達だった。

「だから言ったでしょ。奇襲はまずいって」

ソンロンがそう言うと、8人の魔法使い達の中の一人、ガーラは、

「後で、ワトソン様にこの事を知らせます。ゲダロフ君、あなたは、罰を受ける
べきだ」

8人の中で25歳で最年長だったガーラがそう言うと、ゲダロフは、知らん顔を
して、袋からトロルの軍隊を出した。巨大なトロルがアンドロイド達とブリット
・コアを襲う。

「いかん。退却だー!!」

コラームスは、アジトから全軍引き上げ、退却していった。8人は、全員そろっ
て、

「ホッ」

とため息を漏らした。これで、オグマ軍を壊滅させる事になった魔術軍隊。しか
し、魔王オグマを倒すまでは、地底世界に平和は、やってこない・・・

続く


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