第9章:決戦

最初の戦いに生き残った6人の魔法使い達のうち、ゲダロフを除いては、勝利の
歓喜にあふれていた。

「まだ、戦いは終わっちゃいないさ」

冷ややかにゲダロフがそう言うと、レイラが、

「成長したのね」

と優しく声をかけた。

〈まだ、戦いは終わってない・・・〉

その通りだった。6人の魔法使い達は、惑星パジェットの都市の一部分を崩壊さ
せたにすぎない。地平線の彼方には、まだれっきとした未来都市が建ち並んでい
る。そして、壊れた都市の陰から、約5、6万人の魔導アーマーを操るアンドロ
イド兵がざっと現れた。

「いかん。これだけの数では全滅してしまう。全員撤退だ!」

ノーヴァがそう言い、6人は地底世界に帰還しようとした時、遙か頭上、空から、
「敵に背後を見せるとは、不覚なり」

得体のしれない化け物が、空を覆っている。

「私は、全てを破壊し、新しい生命と文明を生み出す魔王オグマ様の意志を継ぐ
者。コラームス」

そうだ。あの将軍コラームスが5年という月日をかけて、またワトソン軍の前に
現れたのだ。

「私は、オグマ様により進化した生命体となった」

コラームスは、全長約5メートルはある巨体を前に地上へ舞い降り、ゲダロフ達
の前に立ちはだかった。毛むくじゃらに覆われた野獣のような姿をしたコラーム
スは、5、6万人のアンドロイド兵を待機させて、ゲダロフ達に鉄拳をくだした。
「何の、これしき。みんな、大丈夫か?」

ゲダロフは、他の5人に声をかけた。

「私は、大丈夫」

「俺も大丈夫だ。ダメージをバリアで軽減させてたから」

とは言ったものの、全員傷だらけだ。ノーヴァが、ハーシーが、レイラが、マロ
ーニ、ベスターが、そろって、

「あの魔物を袋から出そう」

と意志を統一した。全ての元素を操るラスト・エレメンタルが250匹現れた。

「雑魚が」

とコラームスは不気味に微笑んだ。

ラスト・エレメンタルの灼熱の炎、地柱、大量の放水、吹雪がコラームスを襲う。
「ハッハッハ」

その時、コラームスは、魔法陣を敷き、魔法を唱えた。

「あいつ、魔法が使えるのか」

『スペリオール』

その瞬間、今までのラスト・エレメンタルの攻撃が全てこちらに向けて帰ってき
た。

「万事休すか」

バリアを張っていた6人の魔法使い達は、正直帰ってきた攻撃に耐えられなかっ
た。と、その時、

「助けに来たわよー!!」

ソンロンを始めとする16人の魔法使い達が援軍にやってきた。ソンロン達によ
り、強力なバリアが張られたが、6人とも全員気を失っていた。

「ちっ!今日のところはここまでとするか」

コラームスは、空を飛び、どこかへ帰っていった。

「追うわよ」

「はい」

ビロやガーラは、衰弱したゲダロフ達をほうきに乗せて、コラームスを追いかけ
た。コラームスが向かった先は、スカイ・コロニーという空中都市だった。

「ここがヤツの住処ね」

ソンロンは、スカイ・コロニーに住んでいるパジェット人に声をかけた。

「私、悪い事何もしていない。どうか殺さないで・・・」

「大丈夫よ。私たちは、あなた達の味方。それより、この辺に医療院みたいのな
い?」

「最先端の技術を生かしたレストルームがこの先にある」

「ありがとう。ところで、あなた達は、コラームスの味方?」

「とんでもない。私たち、平和好き。争い嫌い」

一人のパジェット人がそう言うと、ソンロン達は、レストルームに向かった。

「重傷だな。3週間は安静にしておいた方がいい」

パジェット人の医者は、そう答えた。

「ソ、ンロン?」

レストルームのベッドで横になっていたゲダロフがわずかに目を開けながら、呟
いた。

「だめよ。安静にしてなくちゃ」

「俺とした事が、一生の不覚だ・・・」

「まだ、戦いは終わってないのよ。だめよ、そんな弱気じゃ」

「そうだな」

そう言い、ゲダロフは薄れゆく意識の中でわずかに微笑んだ。

「コラームスを私たちだけで、倒しに行くわよ」

「おおー!!」

16人の魔法使い達が全員勢いよく声をあげた。
決戦は、まだまだ続きそうだ・・・

続く


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